幼児~思春期の皮膚の特徴

幼児~思春期の肌の特徴と肌トラブルイメージ画像

生後1歳ごろから10歳ごろまでの子どもの肌は、皮脂の分泌量が最も少ない時期と言われており、乾燥しやすく肌トラブルを起こしやすい時期でもあります。皮脂は皮膚から水分が蒸発することを防いだり、外部の刺激から肌を守ったりする働きをしています。また幼稚園や学校に通い始めると多くの人と触れ合う機会が増えて、肌の感染症にかかりやすい時期になります。特にこの時期によく見られる肌の感染症では、とびひ(伝染性膿痂疹)や水いぼ(伝染性軟属腫)などがあります。こうした感染症から肌を守るためには、日頃からスキンケアを行って、乾燥を防いでかゆみを抑えるなどの対策が重要です。

また思春期に入ると、皮脂の分泌量が増え始めるのですが皮脂が過剰に分泌されたり、毛穴がふさがってしまいニキビができやすくなります。皮脂が増えるのは成長に伴うホルモン分泌の変化が原因ですが、そのほかにも勉強や人間関係のストレス、睡眠不足でホルモンバランスが崩れるとニキビができやすくなります。

「年齢に伴う皮脂分泌量の変化」のグラフ

幼児~思春期の肌トラブル

幼児から思春期にかけて多い肌トラブルには、

などがあります。

乾燥肌

肌が乾燥していると、かゆくなったり、肌の赤みが出たり、肌がひび割れたりします。乾燥肌の怖いところは、かゆいからと言ってかきむしってしまい、肌が傷ついてそこから細菌やウイルス、アレルゲンなどが侵入することです。細菌やウイルスが肌の中に入り込むと、感染症に感染したり、アレルゲンが入るとアトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどを起こすこともあります。
肌の乾燥を防ぐために大切なことは何と言っても「保湿」です。保湿剤を適切に使用することで、肌の乾燥を防ぎ、かゆみやひび割れを予防することになります。保湿剤の他にも、空気が乾燥する季節や場所では加湿器を使用するなど、湿度を一定に保つことが大切です。

とびひ(伝染性膿痂疹)

とびひ(伝染性膿痂疹:でんせんせいのうかしん)は、肌にできた傷から細菌(黄色ブドウ球菌や連鎖球菌)が入りこんで、腫れや水ぶくれ、びらん(じゅくじゅくした状態)になる病気です。とびひになると、一気に全身に症状が広がっていくためしっかり対策をすることが大切です。
肌をかきむしってできた傷やひび割れがあるとそこから細菌が侵入するため、肌を傷つけてしまわないように、かゆみや乾燥対策が重要です。特に夏は虫刺されをかきむしってしまい、そこからとびひを起こすこともあるので、虫に刺された場合は患部を冷やしてかゆみをやわらげてあげる、塗り薬を使う、ガーゼで患部を覆うなどの対応をしましょう。

水いぼ(伝染性軟属腫)

水いぼはウイルス性の感染症で、数ミリ程度の光沢のある発疹ができる病気です。発疹の中でウイルスが繁殖するため、発疹がつぶれて中に含まれる液に触れたところに新たな水いぼができます。特に乳幼児期~小学生低学年ごろまでに多く、プールなど肌を出すことの多いタイミングで感染が広がりやすいです。
誰しもかかる可能性があるため、プールの後はしっかり体を流す、お風呂に入るときに体をきれいに洗う等の対策と、肌のバリア機能を整えておくことが大切です。水いぼができた場合は、ピンセットを使った摘除や液体窒素で凍結させる治療が多いですが、塗り薬を使用して治療していくこともあります。

ニキビ

ニキビは思春期に起こりやすい肌トラブルの一つで、正式には尋常性ざ瘡と言います。毛穴が詰まったり、毛穴の中でアクネ菌というニキビの原因となる細菌が繁殖したりして、おでこや頬っぺた、口の周りに発疹ができる病気です。ニキビにも種類があり、白→黒→赤と状態によって色が変わることも特徴です。
思春期には皮脂の分泌量が増えて、ニキビができやすくなります。見た目が気になるからといって触ったり、ニキビをつぶしてしまうと細菌に感染してひどくなったり、ニキビ跡となって肌に凹凸が残ってしまうことがあります。肌が乾燥していると皮脂の分泌量が増えやすくなるため、洗顔やあぶらとりフィルムで軽く抑えるようにして余分な皮脂を取り除いたり、洗顔後は保湿をすることで皮脂の過剰な分泌をコントロールしていくことが大切です。塗り薬での治療もありますので、ニキビがひどい場合や気になる場合には、医療機関に相談するようにしましょう。