アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎イメージ画像

アトピー性皮膚炎は何らかの原因で皮膚のバリア機能が低下して、皮膚に「炎症が起こる」→「炎症が治まり良くなる」→「炎症が起こる」…といった具合に、炎症を繰り返す病気です。
アトピー性皮膚炎は

  1. かゆみを伴う湿疹
  2. 良くなったり悪くなったりを繰り返す
  3. アトピー素因(アレルギーを起こしやすい体質)がある

ことが特徴です。

年代別での症状

アトピー性皮膚炎は年齢によっても症状の現れ方が異なる傾向があります。もちろん個人差はありますが、乳児期や幼児期、学童期などそれぞれのタイミングで分泌される皮脂量の変化なども関わるためそれぞれの年代でみられやすい症状の特徴を抑えておきましょう。

乳児期(0~2歳)

湿疹ができやすい場所:顔や頭

乳児期には、頬や口の周りなど顔や頭に症状が出る傾向があります。
顔や頭がかさかさしたり、赤くなったりします。乳児期には皮脂の分泌量が大きく減り、乾燥しやすくなります。乾燥して肌がかゆくなると、知らず知らずのうちに掻いてしまって、ジュクジュクとした湿疹を起こすこともあります。
特に母乳やミルクから離乳食に切り替えるタイミングでは、口の周りに食べこぼしがつくことで肌の炎症を起こすことも多いです。

幼児期~学童期(2~12歳)

湿疹ができやすい場所:首の周りや関節の内側

幼児期から学童期にかけては、ひざの裏やひじの内側、首の周り、わきの下などの間接部分に症状が出やすい傾向があります。この年齢になると、体の様々な場所に手が届くようになるため、かきむしってしまってなかなか炎症が治まらなくなったり、皮膚が厚くなってゴワゴワと象の肌のような状態になることもよくあります。

思春期・成人期(13歳~)

湿疹ができやすい場所:顔や首の周り、胸や背中などの上半身

思春期以降は顔や首の周りのほかに、胸や背中などの上半身、また関節部分にも症状が出やすくなります。この時期は周りの人からの視線が気になることも多く、肌を露出することを嫌がったり、外出を嫌がることもあります。体の状態について、しっかりと話をして本人も納得して、本人・家族で協力してケアをしていくことが大切です。
またメイク・化粧にも関心が出てきやすい時期で、化粧品を使用すると肌に負荷がかかり炎症がひどくなることもあります。メイクをする場合でもメイク前後の肌のケア方法をしっかりと学んでおくことも大切です。

アトピー性皮膚炎の重症度

アトピー性皮膚炎は皮疹の面積と炎症の強さで重症度を分類します。

重症度 皮疹の面積 炎症の強さ
軽症 面積は問わない 軽度の赤みや乾燥
中等症 体の表面積の10%未満 強い炎症を伴う皮疹
:明らかな紅斑・
落屑・湿潤
体幹(胸や背中):明らかな紅斑・苔癬化
腕・足:明らかな紅斑・休診・掻破痕・苔癬化
重症 体の表面積の10%~30%
最重症 体の表面積の30%以上

落屑(たくせつ):皮膚が白く細かいかさぶたのような状態になって、ぽろぽろとはがれ落ちる状態です。

苔癬化(たいせんか):皮膚が分厚く、硬くなって、表面のしわや溝が深くなってくっきり見える状態です。

季節によるかゆみの違い

アトピー性皮膚炎は慢性的な皮膚疾患ですが、季節によって異なる原因が症状の悪化を招くこともあります。人によって、症状が悪化しやすい季節も異なるため、この時期はかゆみが強いな、という場合には原因への対策をしっかり行いましょう。

「花粉」

春は花粉の飛散量が多く、特定の花粉にアレルギー反応したり、空気中に漂う花粉が肌に付着して刺激になって症状が出やすくなる方がいらっしゃいます。またアレルギー性鼻炎がある場合には、ティッシュで鼻をかんだり、ぬぐったりするときに鼻の周りや頬の皮膚を傷つけてしまい、炎症を起こしやすくなります。

「暑さと汗」

気温が高い夏は汗をかきやすく、汗の中に含まれる成分が肌への刺激となってかゆみが強くなります。また体温が高くなると体の中のかゆみを伝える神経の活動が活発になり、かゆみを感じやすくなります。
夏は湿度が高く、熱がこもりやすいので細菌が繁殖しやすくジュクジュクとした湿疹を起こしやすくなります。

「花粉・ダニ」

秋になるとブタクサやヨモギなどの草花の花粉が飛び、それが刺激となって症状やかゆみが悪化することがあります。また、家の中でも夏に増えたダニのふんや死骸がハウスダストに紛れ、空気中に舞いあがります。こうした花粉やハウスダストが肌へ刺激を与えて、症状が出やすくなります。

「乾燥」

アトピー性皮膚炎を悪化させる冬に多い原因は何と言っても「乾燥」です。乾燥して、肌に刺激が伝わりやすくなって、炎症が悪化しやすくなります。特に顔や手足など外気に触れる部分は十分に保湿するようにすることが大切です。